記憶の釣行 片品川源流

2018年7月末に群馬の片品川の源流へ

 

少しきつめな釣行がしたい。選んだ先は片品川の源流。東京からも3時間程とアクセスがよい。案内本には本流上流部の案内はあったが、1行ほどで「面白いかもしれない」程度に書かれていた支流源流を選んでみた。
目的の渓へは林道と合流する橋から入渓するか、林道終点近くにある小沢からの山越えになる。下流からの遡行は沢登りのベテランさえ悩む難所があるため、迷わず山越えルートをとることにした。
山越えの入渓記録が乏しく、沢登りの帰路の山越えによる記録を頼りに四時間程度で行けるだろうと思っていたのだが……

 

 

日曜に現地の道の駅で三人合流。良渓くんと私は夕方合流し焼き肉宴会。二人とも仕事と連日の猛暑でクタクタだ。腹いっぱいになり、久しぶりの涼しい夜で早めの車中泊。明け方5時、深夜到着の真ちゃんと合流し早速装備を整える。良渓さんのジムニーに乗り込み40分ほどで林道ゲートに到着。平日のせいか先行車はなかった。

 

 

6時10分出発。平坦な林道を進む。歩き出しは舗装された道だったが、次第に大小の岩が転がる荒れた林道になってくる。ミニバイク、自転車で来る人もいるようだ。壊れたものが放置されている。荒れ放題の林道ではとても乗れたものではないと思う。本流は林道の遥か下に流れているが、沢が合流するあたりから高度差がなくなり、7時 35分に目的の橋に到着。橋脚の影に良型のイワナを発見して期待が膨らんだ。

 


大休憩をして山越ルートを目指す。橋からの林道は廃道していて草が生い茂る荒れた道になっている。10分ほど歩くと本流の大きな滝が見え、その脇に地元の人々の山小屋がある。自由に使えてここを拠点に釣行する人もいるそうだ。またこの辺りから林道脇に平地が随所に見られるが、昭和の始め足尾銅山の燃料とする伐採作業をしていた人々の家屋跡ということだ。

 


陽が高くなり暑さが激しくなってきた。キャップの日差しに汗が移りポタポタと垂れて来た。途中枯れた山から水が沸きだし満足するまで喉を潤してクールダウン。元気を取り戻して9時に山越えルートの合流点に到着。沢の右岸に踏み跡が明瞭に見えた。さぁ〜山越えだ!

 


ここから地形図にも載っていない獣道のような踏み跡を辿る。この踏み跡が何故あるのかは分からないが、沢登り、源流釣り師などマニアックな人に使われているようで、木々にはピンク色のマーキングテープが結ばれている。所々でテープが途切れて不安になる個所もあるが、目を凝らせば先々に見えてくる。
最初は尾根沿いの斜面の急な直登が続く。足場は砂地で雨が振っていないのでカラカラで蟻地獄状態。グリップが利かない。踏み跡の脇に生える草、木の根を掴みながらの登り。重いザックが肩に食い込みゼーゼー、ハーハーで何度も小休止を繰返し、尾根を登り詰めた平地で大休憩。

 

 

谷から吹き上げる風が気持ちよかった。その後尾根をトラバース気味に進む。踏み跡が砂利になりこれもグリップが効き難い。緩やかに登りのトラバースを続けると大崩落地が見えてくる。崩壊が激しく高巻きが出来ない。滑落すればアウトだろう。寅ロープが掛かっているが、そこまで近づくのも危険な道幅なので私と良渓くんの10mロープを連結し寅ロープが掴めるところまで安全を確保した。大崩落地点を通過すると徐々に高度を上げて行き、高い木々の隙間から青空が透けて見えてくる。青空が目線と同じ高さになり11時35分に山越えの頂上にようやく到着。反対側から流れの音が聞こえる。緊張から解放された。

 


頂上で息を整え小腹を満たして下り開始。下り始めはトラバースして高度を下げ、時々砂地の急斜面が入るということを繰り返す。グリップが効き難いのでスキーの横滑りの要領で下って行った。下りだけあって予測より早く、頂上から55分で本沢に到着。時間は12時半。休憩を入れて 6時間20分のアプローチだった。

 


当初計画では川に出たらザックを背負い、竿を出しながら上流に敵地を探そうと思っていたが、川を見たらその気も失せ、降りたところがキャンプ跡で炉も薪もあったのであっさりそこに決定した。雨の心配はなかったが、流れから離れた一段高い場所にテントを設営。野菜、酒、肉などを冷たい流れに浸し竿を伸ばした。

 


釣り場はテント場上流から。すぐに二俣になり本沢、支沢となる。さっそくよい淵に毛鉤を浮かせると底の方から大きな口を開けて飛び出してくる。餌の取り方が下手くそなのか、アワセが下手くそなのかフッキングしない。良渓くん、真ちゃんも同じことを言っている。またテント場が近いせいか期待していたほど魚影が見えない。しかし二又の入り口となる長いナメの始まりから良型が竿をしならせてくれた。釣れるサイズは9寸前後いつもなら8寸型でも大喜びだが欲が出てくる。

 

 

ナメの流れを過ぎて二俣に分かれ、右側の本沢に入った。V字谷で流れが 狭くなり、三人順番で釣り上がる。段差が低い落ちこみから淵が広がるようなポイントが次々続く。私と真ちゃんはドライのパラシュート、良渓くんは伝承毛鉤だ。浅い流れで魚が水面に興味を持てばドライへの反応がよいが、岩影や底にいる魚を出すには伝承毛鉤が圧倒的に勝る。今回は水が少なく感じ、魚も岩影に隠れているようだった。毛鉤を流れに投入すると離れた岩陰からビューンと毛鉤を追いかける姿をよく見た。飽きない程度に良型の反応が続き、良渓くんの31センチを頭に私、真ちゃんは泣き尺、9寸型がよくかかり、苦しんで来た甲斐があったと思った。

 

 

前方に10メートルほどの滝が見え、高巻は可能だろうが時間も16時半過ぎ。テント場までの帰路時間を考えて竿を畳んだ。源頭まで魚がいるとのことで、魚影が濃いのは確かだ。
50分ほどでテント場に戻り、辺りも暗くなり始めたのでさっさと宴会に備えた。今となっては重いザックの原因を作ってしまったトマトすき焼き(小型トマト10個程度、玉葱2個、牛肉700g、うどん乾麺)を作り、真ちゃん自家製のベーコンの燻製をツマミに、ビールのロング缶で乾杯!焚き火には岩魚の塩焼きと刺し身3尾分が並んだ!
次回からはメニューもしっかり考えないと・・・・

 


早く寝たお陰で日の出と共に起き出す。まずは炉に火をいれて目覚めのコーヒーとタバコ。
そして内臓が起き出してお決まりのトイレ!1日の始まりだ。
ゆっくりとテン場の朝を楽しみ、朝食の準備を進めながら今日の予定を考える。朝食はトマトすき焼きの残りにうどんをぶっ込んだもの。さっぱりしていて丁度よい。撤収は釣りから帰ってきてから。11時にテン場を出発することにし、9時半にはテン場に戻る計画にした。7時に支沢を目指し出発した。

 


テン場から10分程歩き竿を出した。朝から反応がよい。支沢の渓相は本沢より更に狭く、急な流れに見えた。その変わりに一発勝負の大場所が多く見えた。朝も早いので型、数はイマイチだったが、魚との駆け引きは味わえた。渓に陽が差し込めば魚もお目覚めして反応もよくなるだろう。9時に竿を畳みテン場に戻る。

 


食材が残っているので保存が効き難いものを平らげザックを軽くする。数時間前にうどんを食ったが、サバ缶冷麦にする。長ネギ、ミョウガ、大葉にトマトの荒切りを麺つゆに馴染ませ、川の冷たい水で締めた冷麦!さっぱりしていて喉ごしもよく、400gの乾麺を平らげ出発した。

 


帰りは同じルートを辿るが、一度通った道なので緊張感は無く、下りが圧倒的に長いせいで、行きより1時間強早く車止めに到着出来た。途中休憩した橋から流れを覗くと、鯉かと思う優に尺越えの岩魚を発見した。河原に降りて真ちゃんがチャレンジするも・・・ここまで大きくなった岩魚の証らしく簡単には釣れてくれなかった。次回は二泊で最源流まで釣りあがってみたい渓だ。